「起きなさーい!」

私、椎名智笑(シイナ チエミ)の一日は、母の甲高い声で始まる。


春の朝日が私を照らす。
あまりの心地よさに2度寝してしまった。
次に目を開けたのは15分後…

あぁ… 最悪だ――。

遅刻決定。

「お母さん!!何で起こしてくんなかったの?」
「だって、気持ちよさそうだったもの」
「はぁ?意味分かんないから!」

1回しか私に声を掛けてくれなかった母に怒りをぶつける。

4月、高2年になった私は春の暖かさと睡魔に負け
今月になって5回目の遅刻…
今日遅刻したらトイレ掃除をやらされる。


無理やり朝食を口に運び、飲み物で流す。
遅刻決定なのに、急ぐ私。

整ってない髪形で家を飛び出る。

「智笑~気をつけてね!」

後ろの方で叫ぶ母を完全に無視して走った。