るんるんしながら廊下をスキップしていると、後ろから誰かの気配が近付いた。



「鈴奈ちゃん」

「きゃあ! だ、誰……?」


 その瞬間後ろから抱き締められて思わず飛び上がった。

 一気に甘い香りに包まれて戸惑いを抑えられない。
 甘いっていっても神崎クンよりはすっきりしているけどね。



「声でわからない? 残念だなあ」

「あっ、え、えっと、春川さん?」

「当たり」


 春川さんの声と吐息が必然的に耳に触れる。
 な、なんか身体が熱くなってきちゃった。


「っていうかいつまで抱き締めてるんですか!!」

 そう言って私は身をよじってその腕から逃れようとする。
 その時、春川さんがクスと笑った気がした。
 そして……



「ぇっ……! ちょ、春川さん!?」

「ちょっとだけ、静かにしてて?」


 春川さんはニコリと笑う。
 春川さんに私はひょいと持ち上げられ、……要するにお姫様抱っこされたのだ