その瞬間、私の目に映った物とは。


「……っ!?」
「ん、小鳥遊さん?」



 私の異変に気付いた神崎クンはどうしたの、と首を傾げる。


 いやどうしたもこうしたも無いって。

 あなたさっきトイレでも行って来たんですか。何をそんなに急いでたんですか。ジッパー上げる余裕すら無かったんですか。



 神崎クン、社会の窓大換気中。

 頭の中で再認識すると、あまりにもおもしろい。
 チャックの隙間から覗くのは、黒とグレーのツ……いや詳細は可哀想だからやめておこう。


「ふっ、く、く……っ」

 どうしよう、笑いがおさえられない……!
 そして遂に、私は。

「アッハハハ! か、神崎クン…くくッ…、しゃ、しゃ、かいの、窓が……あははははっ! ヤバイ、ヤバイってッ! ズボン、チャ、ック、早く閉めッ……、ハハハハハ!」



 盛大に吹いた。

 いや、最早吹いたどころでは無い。大爆笑だ。
 やばい、笑いすぎて過呼吸になりそ……。

 目の前にいる神崎クンは、未だに大爆笑する私を最初はポカンとしながら見ているように見えたが、その直後、額に青筋を浮かばせ始めた。


 綺麗な口許も怒りからかヒクヒク引き攣っている。


 ……あ、やばい。これは由々しき事態だ。

 私、神崎クン怒らせちゃった。