「別に大したもんじゃないから。余り物だから。お礼とかいらない」
「私にとっては大したもんだよ! ほんとにありがとう!!」

 私が頭を下げてそう言うと、柏崎君はそっぽを向いてしまった。

 ……あれ、なんか、照れてる?
 柏崎君の耳が心做しか赤い気がする。

 そしてそれを誤魔化すかのように「あっそ」と吐き捨てるとすたすた歩いていってしまった。


「悪かった」


 って、後ろから聞こえた気がして思わず振り返れば、もう角を曲がったようで柏崎君は見えなくなっていた。


 あれ、柏崎君あんな良い人だったっけ。