「あれ? もう来てんのか、例の彼女ってのは」


 えーと、たしか彼は柏崎蓮……かな?
 うん、多分柏崎君だと思われる人がふとこちらに気付いた。
 例の彼女とはどうやら私のことらしい。さっき入ってきたの私と神崎クンだけだし神崎クンの三人称彼女だったらそりゃまた笑うわ。

「ドアが開いた時点で気付けよ」

 なんて神崎クンが言うが、彼……柏崎君はそんなこと気にしてないみたいだ。


「ふぅん……? ま、よろしく」


 ええええぇ……。
 柏崎君まで私によろしくしてきた。しかもなんか嘲るような瞳。見下されているような気がする。

 怖い人ばっかだな。

 一体さっきからなんなんだろう。なんでよろしくされてるの私。


 ていうか、今更だけどなんでこんなとこ連れてこられたの?


 私を連行した神崎君に視線を向ける。

 するとバチリと視線が合い、見つめ返されてしまった。(というか睨まれた。)

 細められる双眸は無駄に綺麗でカッコよくて、思わず視線をそらせてしまう。

 悔しさからか私は唇を噛んだ。


 ああ、駄目だ。
 どうも神崎君には負ける。


 いや負けてたまるか。