「……うう」


 この痕、見えないかなあ……大丈夫かなあ。

 春川さんは楽しそうに私を見ている。


「な、なんで笑ってるの! これも全部春川さんが……」


「はい、バツ一個」

「……え」


「全く、君は覚えが悪いね」



 春川さんは、やれやれと言ったように手をあげる。


「理将」

「……理将、さん」

「ま、及第点かな」



 春川さんは満足そうに笑うと、黒い百合も私に手渡す。