穴が、獲物を補食しようとする蛇のように口を広げて私の体を待っていた。

落ちる!!

「きゃああああああああ!!」

思った通り、この穴はおかしかった。

底がない。

「煩い女は殺したくなる。」

その声がした方を振り向くと、リードがいた。一緒に落ちている。

「あ……なた……わた……」

喋ろうにも言葉にならない。

「慧様に会いたいんでしょう?」

見透かしたようにリードが言った。

「慧様に会いたければ、私に従いなさい。私はキイ様を慧様の元へ導くのが使命なのですから」

なぜかリードは悲しそうな顔をしていた。

「あの………」

リードに声を掛けようとしたその時だった。

急に穴の底から突風が吹いてきて、私の体は穴の壁に叩きつけられた。

「キイ!!」

リードの声がした気がしたが、私はそのまま意識を手放してしまった。