「この木は……。」

知っている木だ。

昔、姉と幼なじみとそこに行ったのを覚えている。とっても大きい木で、窪みなどに隠れてかくれんぼをした。

でもなんで?

この木は家からそう遠くない。

もしこの木にいたとしたら、とっくに姉は見つかっているはずなのに……。

「私も会いたい……お姉ちゃん。」

とにかく、そこに行けば何か分かるかもしれない。

もう外に出歩くのは禁じられている時間だけど、いてもたってもいられなかった。

パジャマにコートを羽織り、誰にも気づかれないように部屋の窓から家を出た。