今までこんな物無かったのに……。

そう思いながら日記帳を開いた。

「あれ……?」

何も書かれていない。

日記じゃないのかしら。

その後、パラパラとページを捲っていくとある文字が目に飛び込んできた。


『キイへ』


キイ(紀衣)、それは私の名前。

姉だけが私の名前をカタカナで書くのを思い出した。字も似ている。

間違い無く、姉が書いたものだ。

急いでページを捲る。



『寂しい。』

『キイに会いたい。』



1ページに一言ずつ私へのメッセージが書かれていた。



『でも会いに行けない。』

『キイに来てほしい。』

『誰にも言わないで。』



『ここへ来て』

『慧より』



姉の名前が書かれた次のページには、
簡単な地図と、大きな木の写真が貼り付けてあった。

それ以後は真っ白のページが続いていた。