チーズケーキを順調に削りながらも、カップの中身は手付かずのまま。

カップを少し右に寄せ、私はチーズケーキに集中する。


叔父さんはミルに挽かれたコーヒー豆を慎重に袋に移している。


「叔父さん?」

「ん?」


やはり叔父さんはこちらを見ない。
客の下らない世間話を聞くように、さりげなく耳を傾ける。


「叔母さんの事、愛してるの?」


この質問にはさすがに意表を突かれたようで、目を丸くして私を見た。

しかし私は余程、真剣な顔をしていたのだろう。
叔父さんは目を細めて口角を上げ、まあな、と返事した。