バスの窓から見える景色は懐かしい。幼いころ遊んでいた所々を駆け抜けていく。あの頃はどんな変化にも馴染めた気がする。クラス替えしても新しい友達がすぐにできる。
 しかし、大人になった今、新しく友達をつくろうとしてもなかなかできるものでない。子供の頃の素直で何でも受け入れられる気持ちを今も持っていたとしたら、もっと優しくできたのかもしれないのに。

 琴美はそんなことを考えながら家へ帰った。