深い深い霧のある
森の中を俺はゆっくり
一歩ずつ歩いた。



俺はエアフライを
持っていなかったので

地を一歩一歩
踏みしめたのだった。





暫く歩くと、
向こう側に大きな
水脈の通る音がしていた
その音は
「ザァ」とも「ゴォ」とも
とれるような
もの凄いものだった。




俺は水脈の流れる方へと
その足を向かわせた。



村を出てから
約一日が経とうとしていた。


俺は腹の減りも感じていたので、
水脈に当たったら
食事にしようと考えていた。




次第に音は大きくなっていった。

そして、とうとう――



その水脈が目の前に
現れたときには
五月蠅いぐらいの勢いで周りを削り取る音も聞こえていた。


俺はその水脈に
おかしな点があることに
すぐに気が付いた。



(上流は穏やかなのになぜ下流がこんなに...)


俺は上流の
穏やかな流れを見て
そう思った。


俺が村を出てから
久々のご飯の準備を
始める頃には、

空にくすみがかった月が
その顔を覗かせていた。







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