「どういうって、あの……だから、好きって」
「……日本語って便利だね」
「ちが、誤魔化してるとかじゃないですよ!?」
「ねぇ」

隣に座って向かい合った鳴海に、里吉が正面から目を合わせる。

切れ長の目と、長い睫毛。
いつになく真剣な表情。

「私のこと、ちゃんと男として見てる?」

その顔が鳴海には、妙に、淋しそうに見えた。

なにも言わずに頷く。
目を逸らしたくなった。
でも、ここで逸らしたら、信じてもらえない気がして。

「わ、たし、里さんが……すきです」

今度こそ、声が震えた。

里吉がまた、眉を寄せる
なんでそんなに不機嫌そうに――と、考えて、鳴海は気付いた。
少し尖らせた里吉の唇が、震えていた。