そう聞かれて、出た返事は、これ以上ないくらい、間抜けなものだった。
「……里さん、オカマなんですか?」
「ちげーよ」
間髪入れずに入ったつっこみに、ほっとする。
里吉を見ると、なんとも言えない顔をしていた。
「……じゃあ、女が好きなの」
「違い、ます、けど……あの、なに」
「どこがいいわけ?」
「えぇ……そんなんわかんな、」
「失礼な」
たった今告白した人間と、された人間の会話としては、これよりも中身のない馬鹿らしいものは、ないだろう。
火照っていた鳴海の頬もすっかり元に戻ってしまった頃、里吉が、どかりとソファに座って、眉を寄せた。
「好きってどういう意味?」
なんで怒ってんだ、と思いながらも、鳴海の頬はまた少し赤くなった。
自然と半笑いが出る、変な緊張感。


