「鳴海。こっち向いて」 「……や、あの」 声は意外とスムーズに出た。 掠れても、裏返ってもない。 肩に手がかかる。 耳が熱い。 「ねぇ、聞いていい?」 鳴海は、反応を返さなかった。 彼女の耳元まで近付いていた里吉は、返事を待たずに、真っ赤に染まっている耳に、呟く。 「オカマが好きなの?」