ぐらりと頭が傾いた。 ――里吉ではなく、鳴海の頭がだ。 「うきゃ……なにすんですかぁ!?」 鳴海の額を押し退けた里吉は、立ち上がりざまに言う。 「自分でやってよね、そのくらい。肌荒れてるよ」 「うえ!? うっそお」 水が合わないのかなぁ、なんて呟く鳴海の声を尻目に、里吉は、彼自身でさえ見たことのない顔を、していた。