「ま、気にしないで。それより今はあんたのことでしょ」
「あぁ、はぁ……ですよねぇ」
「どうするの? 今から別の部屋に移してもらうしか」
「うぅん……あ、でもどーするにしても今日は行くとこないので」

不穏な空気が漂っている、気がした。

「……あの……お邪魔しても、いい、ですか……?」

鳴海がこの部屋の住人に伺いを立てると、彼は、思いきり渋い顔をしてみせた。
眉間にしわが寄っても美人は美人、と少し感動する。

はぁ、と大きな溜め息で、里吉は渋々言った。

「しょうがないな……明日、どうするか考えないと」
「ありがとうございます! よかったぁー」