風萊族

「なんなんだあの男は!」

あたしと麗華は、屋上でお昼を過ごしていた。

「まぁ、仕方ないんじゃない。“一応”同じ風萊族なんだから」

サンドイッチをかじりながら麗華は冷静に答えた。

「風萊族の事をよく知りもしないのにやすやすと答えるなぁ!」

「まぁまぁ、怒るなって。知るわけないじゃないか。・・ほかの部族の事なんて」

「そおいえば、あんまり麗華って自分の話しないよな」

「だって、あたしの話なんて誰も興味持たないし、人の聞いてる方が楽だし」

麗華は、ボォっと空を見つめながら言った。

「んじゃ、今度聞いてやるか」

あたしは、独り言のようにつぶやいた。

麗華は、ふっと静かに笑った。

「つーか、ほんとにあいつどうしよう・・・」

「ほっとけほっとけ。そのうち忘れるって、バカそうだったし」

麗華は手をひらひらさせながら言った。

「『あたしは何も関係ないしー』みたいな感じで言うなー!」

そんな些細な麗華とのやり取りの最中も嫌な予感がしていた。