風萊族

あたしは、必死で見て見ぬふりをしていた。

隣では麗華がくすくす笑っている。

クソ!なんでいるんだ・・・。

でも向こうは気づいていないはずだ。

少しほっとしていたあたしの気持ちを櫂冶は、いとも簡単に踏みにじってくれた。

「お!來譁じゃねーか!ってなんでお前がいんの?」

それはこっちのセリフだ!

「そんな怖い顔すんなよ、『仲間』なんだからさ♪」

櫂冶は、『仲間』の部分を強調しながら少し小声で言った。

「うるさい。お前なんか『仲間』じゃない!」

思わず言い返してしまった。まぁ、いいか。このくらい言っとかないと・・・

「あはははははは!!」

櫂冶は腹を抱えて笑い出した。

あまりにも突然で、あたしも麗華もクラス全体が静まり返った。

「あーあ、腹イテェ。上等じゃねーか。ぜってぇ『仲間』だってわからせてやる」

突然の櫂冶の宣言にあたしはただただ戸惑うだけだった。