恋の施し



お粥を作って部屋へ持って行くと相田君はきちんと服を着替えて寝ていた。
氷水で濡らしたタオルも使ってくれていた。




「相田君、お粥食べてくれる?」




「………いただきます」



最初よりは少しだけ顔色が良くなっていた。




「…美味しい。
望月さんはやっぱり優しいね」




「っ!べ、別に優しくなんかないよっ!

それより私、勝手に色々使っちゃったけど大丈夫?…というより人の家でこんな勝手な事して厚かましいよね?

ごめんなさい」




今思えば何してるんだろう…
彼女でも何でもないプリント届けに来ただけの奴がこんな事して…


うああー…今更罪悪感というか…自分の行動が恥ずかしい…

過去の私を消し去りたい。優しさアピールどころかウザさアピールしちゃったよ…


そうしてうんうん頭を悩ませていると…




「そんなの気にすることないよ。
本当に感謝してるんだ。ありがとう」




フワリと優しい笑みを彼は浮かべてくれた。


胸がドクンと高鳴る。



―――――…私はこの笑顔に惹かれたんだ。



この笑顔で今日ここに来て良かったと不純にも思ってしまった。