恋の施し



「そうだね。カッコ良いよ。
けど、私が好きになったのは郁の優しさだよ」




いつも、私を救ってくれたその優しさだ。





「……やっぱり響花は、響花だな。
ちゃんと俺を見てくれてる」




うん、さっきとは違う優しい笑み。
作られた笑顔より、キメている笑顔より私は自然なこの顔が一番好きだ。



“優しい”なんて褒め言葉、誰でも言えるのに…





「響花」




あぁ…この呼び方とこの顔は…


することは決まっている。




私は静かに目を閉じた。





ー終ー