恋の施し



「響花の髪が短いから、俺の好きなタイプは髪の短い笑顔が素敵な人」




――――…え?




「あの頃は響花の髪が長かったから、髪の長い笑顔が素敵な人」




「それって…」




「俺のタイプは今も昔も変わらずたった1人の女の子だ。ただ女の子の方の髪型が変わっただけ」




そう言うと、彼はいつの間にか態勢を変え、私の首に軽いキスを1つ零す。




――…私はずっと大切に想われていた。




「郁…ありがとう」




私は向きを変え、そっと腕を郁の体にまわした。




「言っとくが、こんなイケメン様を手駒にできるの、響花ぐらいなんだからな?」




「……イケメン様って…」




「何だ?響花は俺がカッコ良くないのか?」




郁は誰もが昇天してしまいそうな甘い笑顔をしている。


……絶対わざとだ。