恋の施し



「あ、あの、郁?」




ここ、学校で廊下なのに…




「ん?」




「いや“ん?”じゃなくて…

これは…何?」




「抱きしめてる」




いや、それは分かるよ?
私が聞きたいのは抱きしめてる理由だよ?




「すっっげぇ嫌だけど、もしアイツがぶっ倒れてたら起こしてやるだろ?
そん時に緊張しないためのスキンシップしてる」




そ、そっか…いつもの意味のないスキンシップではなく、私のために……なんか…恥ずかしい。
良かった、もう少しで誤解して郁に対して怒る所だった。


でもせめて家とかならまだしも……



あぁ、どうか郁のファンの方々に目撃されていませんように……


郁は私のために協力してくれているから拒む事も出来ない。




とりあえず私は気を紛らわせるために郁に質問をする事にした。