「分かった。言うよ。中学に入ってから」
「結果、聞かせてね」
でも、彼女は損してしまって悲しんだり、弱ったりする部分を決して他人には見せない。いや、特に大切な人には尚更見せないんだ。
「…やっぱ雪音にはかなわねーな。分かった、言うよ。一番に」
「ありがとう」
こうしてお礼を言って楽しそうに笑って振舞っているけれど、彼女が失恋してしまった事に変わりはないんだ。
きっと家で、それも自分の部屋でこっそりと静かに涙を流すんだろう。
だけど、それをここで指摘して雪音に優しくするのは…間違っている。
雪音の気持ちに答えられない俺が胸を貸してやる権利はない。
だから俺は彼女の上辺の笑顔に騙されたフリをしたまま「おう」と軽く返事をする事しか出来なかった。
だけど、結果的にこの約束は果たされなかった。
―――…俺はまだこの頃から何も成長していない。
いつまで経ってもヘタレのままだ。


