でも、やっぱり楓は良い人で。
それが彼の優しさなんだと気付く。
でも、一体彼はこんな私のどこに惹かれたのだろう?
その殴り合いの日からずっと郁は学校をを休んでいた。
いつも浩平君から郁の様子を聞くけれど
「今日も来てないよ」
って言われるだけだった。
郁の家に行っても良いんだけど、恐くて行けない。
それに今、久谷さんが居るのに私がでしゃばって郁の様子を見に行くというのもおかしな話だ。
それじゃあ、私が郁に嘘を吐いた意味がなくなってしまう。
バレる嘘は最初から吐いてはいけないんだから。
「今日は時間あるよね。望月さん、少し私と話しましょう」
ついに、この時が来た。
私は久谷さんに呼ばれた。


