恋の施し



あれから郁と話さないまま一週間が過ぎたある日の昼休みのこと。




「ちょっと一緒に来てくれない?」




「うん」




同じクラスの茨(イバラ)君に呼ばれた。


彼とはそんなに話した事もないけれど、いつも明るくて元気な人で。
人懐こい笑みや大きな声が特徴的。いわゆるクラスのムードメーカー的存在だ。


まぁ、クラスでは雪音のおまけとしてくっついてる私だから、そんな茨君とは正反対なポジションなのであまり話した事はない。

最近、挨拶や軽い返事を交わすぐらいにはなったけれど、正直一体場所を変えてまで彼が何をしたいのか分からなかった。




だけど、教室から移動して中庭まで到着すると、彼はおもむろに口を開き私にこう言った。






「ずっと好きだったんだ。俺と付き合ってくれないか?」



「…え…?」



「俺は、望月がずっと好きだった。だから、付き合って欲しい」






まさか、茨君に告白されるとは思ってもみなかった。



でも、1つハッキリと分かった事がある。