「私はね、郁の幸せを願ってる」
私の様子がおかしい事に疑問を感じているであろう郁の顔を窺えないまま、ただ私は昨日考えた通りの言葉をただ一方的に紡ぎ出す。
「突然、どうしたんだ?」
でも、そんな私の事ばかり気にかけてくれるばかりじゃダメなんだ。
いつも郁には助けてもらった。優しくしてもらった。守ってもらった。
だから。
「別れよう」
そんな郁だから私は。
「……意味分からねーんだけど?」
…そうだよね。自分でも突然すぎて不自然だってのは分かってるんだ。
でも、コレが郁の幸せに繋がるのなら、私は自分の心を偽ってでも道化になれる。
「…やっぱり郁と付き合うのはなんか合わないみたい。だから、別れたいの」
郁は私のために自分を殺してたくさんのウソを吐いてくれた。
それはとても残酷だけれど、とても優しいウソだった。
中学の告白事件の時もそう。
私を好きだと言ってくれた事もそう。
―――だから今度は私の番なんだ。


