秘密のキスをしたとしても。



「….お、お兄ちゃん?」


暗闇で顔はわからないが、私の姿を探しているお兄ちゃんが目に見える。


私のことを心配して出てきてくれたんだ──。


急いで涙を拭いて立ち上がる。


「花?停電だけど大丈夫?」


「う、うん…っ」


涙は拭ったが、嗚咽は収まらず、きっと泣いていたことがバレただろう。


気まずい雰囲気でいると、お兄ちゃんがゆっくり口を開いた。


「とりあえず、1人で暗いのは危険だから嫌じゃなかったら俺の部屋に入って」


「へ?」


まさかの言葉に唖然としてしまう。