秘密のキスをしたとしても。



あまりの恐怖に、眠気が全然こない。


一旦起き上がり、一階へ水を飲みに行こうと廊下に出た瞬間、付いていた電気がフッと消え、目の前が真っ暗になる。


突然のことにビックリし、その場に立ち尽くす。


….え?停電?…どうしよう。何も見えない。


暗闇には恐怖を感じないが、いつ大きな雷音がなるかという恐怖の方が強くて案外冷静な自分がいる。


「どうしよう…」


電気が復旧するまでその場に居ようとしゃがみ込んだ瞬間、近くに落雷したような大きな雷音が鳴り響いた。


その瞬間、ブワッとまた涙が溢れ出し、声を上げて泣いてしまった。


「…ふぇ…うぅー…。もう嫌だぁー…」


子どもみたいに地べたに座りながら泣きじゃくっていると、目の前からドアが開く音が聞こえた。



「…花?」


私の名前を呼ぶ優しい声が静かな廊下に響き渡る。