「花?どうしたの?みんな出発してるよ」


思い出に更けていると亜美がキョトンとしながら私の隣に居た。


「あ、ボーとしてた」


そう言って笑いながら歩き出す。


太陽が眩しく、帽子をかぶってきて本当によかったと、密かに思う。


前を歩いている女子二人が日焼けを気にして帽子をかぶって来ればよかった、と騒いでたから。


「今日は登山日和だねー」


「登山日和って!花、登山家みたいー」


私の言葉につぼった亜美が腹を抱えて笑いながらそう言った。