秘密のキスをしたとしても。



丸くカットされた茶色い髪の毛、男子にしては細すぎるラインの体。


「…」

思い出せそうなのに喉の奥につっかえているみたいに出てこない。


眉間にシワを寄せ、考えていると男の人が私を指差して口を開いた。


「そのジャムパン頂戴」


腹減った、と付け加えて、亜美から貰ったジャムパンを指差しながら言う男の人。


…男の人なのにジャムパンなんて食べるんだ。


ジャムってか、イチゴ味のモノを男の人が食べるなんて想像したことがない。


…。


──────イチゴ…?


「あー!」


私は逆に男の人を指差しながらおもいっきり叫んだ。


思い出した!この人、イチゴロールの人だ!