秘密のキスをしたとしても。



あまりにも突然のことに、とぼけたような声を発してしまった。


キョトン、としながらゆっくり上を見上げると、背が高く、細身の男子が私を睨みながら立っている。


「え、え?」


何故睨まれているのかわからず、瞬きの回数が増える。


慌てて立ち上がり、逆光で見えなかった男子の顔を見た。


その顔は女子が噂をしそうなくらい整っており、髪型も今時風に丸くカットされて、センスの良さが滲み出ている。


「あの…」


「そこ、俺がいつも寝てるところなんだよね。避けてくれない?」


白く、長い指で私がしゃがみ込んでいる地面を指す男の人。