秘密のキスをしたとしても。



「そうか、良かったな」


他の人からもらったパンを紙袋から取り出して、それを食べながらお兄ちゃんは私に言った。


それも紙袋から取り出したパンは、今食べているので三つ目だ。


「お兄ちゃん…、お腹苦しくないの?」


「…まあまあかな。せっかくもらったのに食べないと勿体無いからね」


そう言いながらも、牛乳で口に入っているパンを無理矢理飲み込んでいるのがわかる。


私なら限界がきたらやめるのに…。お兄ちゃんはそういう人。




────スキ。



誰にも聞こえない自分の心の中で静かにそう呟いた瞬間、お兄ちゃんとバッチリ目が合った。