秘密のキスをしたとしても。



──偶然、なのだろうか。


いや。それとも、必然であったのだろうか──。


…それは今の私にはどうでもいい事。


両手のひらに乗っかる大きさのイチゴロールを見つめながら、自分の心拍を感じる。


「…」


「あれ、嫌いだった?」


俯いている私の顔を覗き込みながら、微かに眉を下げ、問う。


そんなお兄ちゃんを見て、慌てて頭を上げて首を振った。


「好き!」


自分でも何故、こんな声を張って言ったのかわからないくらい私は叫んでいた。


それは…、違う意味の言葉も混ざっていたのかもしれない──。


面と向かって言えない、愛情の“好き”を。