秘密のキスをしたとしても。



紙袋を床に置いて、二階の部屋へと上がって行ったお兄ちゃん。


私はその紙袋をジッと見つめる。


…まさかとは思ったけど、これまで凄いなんて思ってもみなかった。


なんだか──遠い。


頭の中でそう呟き、体育座りをしながら俯いていると、頭の上から何か落ちてきた。


ポト、と私の足元に落ちる。


なんだろう、と私は自分の足元を見て、言葉を失った。


「花、イチゴ好きだよな?これ、学校の購買で今日から発売したらしいよ。


────“イチゴロール”」


着替えたお兄ちゃんが私に渡したそれは、今日、食べれなかったイチゴロールパンだった。


胸の置くがズクン、と高鳴るのがわかる。