秘密のキスをしたとしても。



私が怒りに震えていると、玄関から声が聞こえてきた。


そして直ぐにリビングのドアが開いた。


「あれ?花帰ってたんだ」


扉を開けたのは、肩に重そうな鞄を下げ、両手には紙袋を持っている隼人お兄ちゃんだった。


一気に私の体の体温が急上昇するのがわかる。


「さ、さっき帰ってきたばかりだよ。…お、お兄ちゃん、その紙袋何…?」


まだ、お兄ちゃんと会話するのに緊張し、何回もどもりながら聞く。


するとお兄ちゃんは少し困った笑顔を見せ、口を開いた。


「あ、これ?これねー、クラスの女子と、他のクラスの女子からもらった購買のパンとかお菓子。食べきれなくて」


紙袋の中身を聞いて私の開いた口が塞がらない。