優しいなんて、もんじゃない




優、と私を酷くロートーンで甘く呼ぶ声にまた胸が跳ねた。

その声は、危険。



くすり、頭上から聞こえた小さな笑みをこぼす音にムッと眉を寄せた私の名をもう一度呼んだ。




「優、覚えといてね。」

「何が――――…」




たん、と短い音と共に私の背中は冷たいコンクリートの壁に張り付いた。


顔の両脇に黒いジャケットに包まれた長い腕が伸びて、壁に手を着く。


瞬きが止まらない。それより、まず、何だこの大勢は?



ほんの数秒。

私の肩はユウに軽く押されただけだが、予想していなかっただけに足がもつれよろよろと後ずさった。そして、壁に背を預けるような大勢になり。



――――ユウの纏う、いつもとは違う雰囲気に圧倒され押されている自分がいた。




「ちょ、ユウ…!」

「優さ、あんまり嘗めて貰っても困るよ?」

「…はあ!?」