優しいなんて、もんじゃない




つまりは?と聞こうとしたところで、バタンというドアの開閉音が2度荒々しく響いた。


私も勿論美月さんも、視線をドアへと飛ばす。





「やっぱり…ッ!!」

「わ、見つかった。」

「やめろよマジで!…ああもう、だからアンタには言いたくなかったんだよ!」



視界の先で、グレーが揺れる。焦った声色からは対照的に、こちらに近付いてくる足取りはマイペースという矛盾。


それは、私の前まで来るとやはり身を少し屈める。これで私の方が視点の位置が高くなる。



「優、何言われた?」

「…別に、何も。アンタこそ…」

「美月!手出すなって言っただろ!」



アンタこそどうしたの?

そう聞こうとした私の声は、スクッと立ち上がり私に背を向けて美月さんを見下ろすユウにより掻き消されてしまう。



「欲しい人材には声をかける。これは、鉄則よ。」

「でも、ダメ!」