警戒態勢を取り始める私(数歩後退するだけ)に気付かないユウは、もじもじとしていて



「女々しい。」

「えー、だって恥ずかしい。」

「女子高生か。」


ユウは右手のリングを撫でるように弄び、回転椅子を回し私に背中を向けた。


コイツ、肩細いな…。てか全体的に細い。




なんて、人間観察をしていた私の耳に届く小さく弱々しい声。



「……俺、カシス以外の酒のめない。」

「………へえ?」

「(え、何今の沈黙。)」



意外だとは、ほんの少しだけ思ったけど後は特に何も思わなかった。

酒なんて、好き嫌いだってあるし私だってあまりのめる人ではない。


のむとすれば、カクテル。それもレモンなどの柑橘系だけ。



ビールやウィスキーはもっての他。弥生さんがのんでいるテキーラなんて、信じられない。




だから、正直ユウが恥ずかしがる理由が分からなかった。