優しいなんて、もんじゃない




赤い頬を隠すように気付かれない程度に浅い呼吸を繰り返しながら振り返ると、無表情で私を見下ろす藍と目が合う。



何よ、と呟けば。

にやり、口角を綺麗に持ち上げ笑った藍は不意にぽんぽんと私の頭を多少乱暴な手つきで撫でてきた。



「不器用だな、お前。」

「…意味分かんないし。」

「嗚呼、自覚ないのか馬鹿だから。」



いちいち余計な一言をわざとらしく補足してくる藍にはつくづく腹が立つ。


ユウの「反則」並みに、こちらの「不器用」も分からないから困る。もっと伝わるように話せっつーの。




――――それからは、兎にも角にも。

最早拒否権なんてないと言うように藍に車内へと押し込まれてしまった。



藍は助手席に乗り込み、私は距離を詰めてくるユウから逃げるよう出来る限り体を窓際まで寄せるが。


何故か追いかけてくるユウに再び詰められ、今度は逆に逃げ場を失ってしまった。



睨むように隣を見れば、にんまりと満足げな笑みが口元につくられ。



「あー、きっつい。」

「…何が?」

「優に手出したくて、理性保つのが大変なの。」