優しいなんて、もんじゃない




そう言う滝さんの目は、何時かの美月さんの目にそっくりだった。


そう、仕事の目。目の前にあるものを必ず手に入れようとする、どこか猟奇的で真っ直ぐすぎるそれが今滝さんの目に宿っている。



上手く言葉を返せない私に、滝さんが何か言おうと口を開きかけた瞬間。




「―――――菊名。」



凛とした、何か強い意志のようなものさえも感じる声が滝さんを呼ぶ。


滝さんは困ったように微笑を零して、カウンターの方へと振り返った。





「……優を、苦しませないで。」

「……それは、貴女のような想いをしないようにですか?それとも、俺のような想いをしないように?」

「…ヤメテ。」

「貴女は、優ちゃんの為と言って逃げてばかりだ。高校生の時と何も変わっていない。」

「ヤメテ、って、…言ってんのよ。」

「何時まで向き合ってくれないんですか、……何時まで、待てばいいんですか…!?」

「ヤメロって言ってんのよ―――ッッ!!!」



店内に響く、金切り声に私はびくりと肩を跳ね上げらせた。