「じゃ、オレらはここら辺で帰るわ!じゃあね。女子のみなさん」
純希は、オレの制服のスソを引いて音楽室の外に出た。
「じゃあね、2人とも」
海斗は満面の笑みで手を振ってきた。
「おう」
「ばいちゃー」
・・・オレと純希は、音楽室のドアから死角になる場所に立って
海斗と女子達の会話を聞く事にした。
「海斗、見つけてこれると思う?」
「…多分」
ちょっと不安なオレらは、ギリギリまで身を乗り出して聞き耳を立てる。
「「それで、さっきの続きなんだけど」」
海斗の声が聞こえて、オレはびくっとした。
「「この中で、1番ギターが上手い子にお願いしたいんだけど…」」
確かに。
今回オレらがやる曲は、ギターとベースのレベルが相当高い。
それに、オレのメインギターより、サブギターの方のパートは難しくて
本当に上手い奴じゃないとできない。
「「あ、じゃぁ愛里紗だよ!愛里紗が1番上手いよね?」」
「「ぇえー!私??」」
知らない女子の声が聞こえた。
そして、次に南の声がする。
え、
愛里紗って
南の事かよ。
