「軽音部のコたち?」
海斗が、他ならぬ営業スマイルで女子達に話かける。
「うん、今日から練習なんだー!野口たちも練習してたんだよね」
「そうだよ。今片付けるからちょっと待ってて」
「ううん。急がなくていいよっ何なら、一緒に練習してもいいくらい」
今、海斗と喋っているのは隣のクラスの・・・
確か南って言うやつだ。
海斗と同中だったらしい。
その南ってヤツは、海斗の前では明らかに目つきを変えて喋ってる。
コイツ、海斗狙いだな。
でも、オマエじゃ落とせねえよ。
なんせ海斗は、南みたいなギャル系を嫌ってるから。
海斗は、お姫様系が好きなんだよ!
・・・と、心の中で言ってやった。
「いや、悪いし。オレらいると集中できないでしょ」
「う~ん・・・大丈夫なんだけど・・・。あ!野口たち、バンドメンバー募集してるんだよね?見つかったの?」
「まだなんだよね。それが。だから、オレら南たちの中から誰かメンバーなってくんねーかなって言ってたんだよ」
「え」
南の顔が一瞬で赤く染まる。
なんて解りやすいヤツ。
・・・それにしても、海斗の話術はすげえな。
オレ、こんなに思ってもないこと言えねえわ
・・・すると
海斗が赤面する南をよそに、オレらに近づいて耳元で
「さっきの話の続き」
そう囁く。
海斗は、不敵な笑みを浮かべていた。
「オレが、あの中から見つけてあげるよ。4人居ないと出れるもんも出れなくなるでしょ?臨時でいいなら、ね」
オレと純希は、力強く頷いた。
すると海斗は
「オーケー。じゃ、ここはオレに任せて帰ってていいよ」
と、余裕の表情で女子の中に紛れていった。
