盗み聞きなんて、誰にでもあること。
それを、正直に言える誠也はすごい。
「友梨香が、俺に触られた時逃げ出したじゃん?あれさ・・今はなんとなく分かる気がする。あの時は、すげぇショックだったけど」
「あぁ。ごめん。なんか、秋川以外の男に触られたら、ダメになっちゃう気がして」
「今は・・・いい?」
「・・・え?」
一瞬ひるんだすきに誠也はあたしを抱きしめた。
「ちょっ・・!何!?」
必死で抵抗するけど誠也は腕の力を強める。
「あったけぇんだ」
「何が!」
「幽霊だって、思えないくらい、あったかい」
温かい・・・?
あたしが?死んでるのに?
冗談はやめてよ。
そういう事言われると、離さないでほしくなる。
「本気で言ってる?」
「本気」
「誠也はいいね、生きてて」
「俺は、死にたい。死んだら友梨香とずーっと一緒にいられる」
ホント、嫌なやつ。
あたしは生きたかったのに。
生きたいっていう思いさえ、死んでてもいいっていう思いに変えちゃう。
それで、最後はこの言葉。