冷雨のあと

 こうして振り返れば高校時代はひどいものだった。僕だけではないだろうが家庭という地盤が安定していなければ、勉強も何もできない。ただソーリのように現実主義者、どこか冷めたものの見方をするようになった。大学に入学し、親から離れたといってもまだどこかあの時期の経験を引きずっている。高校時代を例えるなら、止むことのない冷雨が心を濡らし、芯まで冷やした。
 大学に入り、冷雨は止んだのか?
 冷雨のあとには何が残ったのだ?
 それとも降っているのだろうか。

 ただ一つ言えることは僕も同じ血が流れている。父やアルと同じ血が。もちろん母の血もそうだ。その気になればすぐに家庭を捨てる。今まで付き添っていた者を容赦なく切り捨てる冷淡なDNA。父はアルの問題を解決できないまま先送りにしている。現実逃避をする臆病者のDNA。詳しいことは知らないがアルも同じだろう。現実に目を背けているから酒に溺れたのかもしれない。
 僕はそうはなりたくない、絶対にならない。

 冷雨のあとに見つけたもの。同じ過ちは繰り返さない。
 部屋で一人そう考えた。