え、“あれ”ってすり抜けやんの?
そんな疑問から、キュッと瞑っていた目を開け
ゆっくりと振り返り、怯えながら肩を掴む“あれ”を見る。
『………ハルちゃん?』
その形はやっぱりハルちゃんで。
「…秋華、大丈夫?」
私同様に肩で息をして、心配そうに私を見つめるのはハルちゃん…
『……本物?』
「…?本物じゃけど」
ほ、本物のハルちゃんやっ!
『…ぅっ…』
ほんまに怖かったんか、堪える間もなく大粒の涙が流れた。
それを引き金にぶわっと溢れる涙。
『…うー…っぇく……ふぇ…』
子供のように泣きじゃくり、ハルちゃんに抱きつく。
「秋華っ!?誰かになんかされたんか?」
私をギュッときつく抱き締め返してくれるハルちゃん、
ふるふると首を振り、
『……笑、わん?』
「…?うん」
私を少し体から離し、首を傾げる。
『……ハルちゃんが…ってん』
……改めて口にすると、かなり恥ずかしい。
やばい。
恥ずかしい、恥ずかしすぎる。

