そのとき、
「…おい」
ビクッ!
え、なに?私!?
てか“あれ”って喋れんのん?
もぉ嫌や~っ
ハルちゃん、助けてっ!
そう思ったら
『──っ…ハルちゃん…!』
思わず呟いていた。
「……ん、なに?」
…………は?
やばい、怖すぎて幻聴が…
頭を軽くぶんぶん振り、ゆっくり振り返る。
あ、あれ?
今度は幻覚?
ハルちゃんが私の前に立ってる。
目を擦ってみてもそこにはやっぱりハルちゃんがおって…
はっ、そうか。
“あれ”がハルちゃんに成りすましてるんや。
うん、絶対そう!
それを確信したらしたで、怖さに変わりなくて。
ハルちゃん(偽)が私に手を伸ばしてきた。
逃げやなっ!
直感でそう思いとにかく廊下を走る。

