………なんで?
考えれば考えるだけわからんくなって、
『…ごめんなさい、ちょっと時間ほしいです』
って私自身目を見開き驚く言葉が
自然と自分の口から出ていた。
「やんな。うん、待ってるから」
じゃあまた、そう言って手降り、私に背を向け帰っていった。
『………なんで?』
『なんで“私も好き”って言えやんかったん?』
そうやん、一言“好き”って言うだけでよかったのに。
私は由紀さんが好きなんじゃなかったん?
『あーもうっ!自分で自分がわからん…』
しばらく自分の世界に浸っていると、
───トントン…
と、誰かが階段を登る音がした。

