『─……っ』
息が上がりすぎて声が出なかった。
もう一度、と試みて顔をあげた。
『……え?』
私の目に写ったものは、ハルちゃんと萌がキスしているところだった。
な、んで…
私、間に合わんかった?
そんなシーン見たくなくて、ぼやける視界を気にもせず
ただこの場から離れるためにひたすら走った。
『………あれ、』
気がついたらここは南館で。
私は声をあげることなく、ただ涙を流していた。
こんなにハルちゃんが好きやったんや。
もう遅いんやけど。
涙を流しながらも少し笑ってみた。
『…ぅ…私っも…好き…やった、のに』
けど涙は止まってくれへんくて。

