驚くほど
何もなかったかのように
また日々が始まった



毎日会って
何気ない話をして
また抱き締めあって
仕事にいく





そんな日常に戻った
ある日
嬉しそうに
車の話をしてきた


「欲しい部品あるんだけど
お金足りないんだよね」


『いくら?』


つい聞き返してしまった


「25万位」
「貸してくれる?」


『うーん
いいよ』





私は彼と
結婚するつもりだった
彼もそう言ってくれてた
だから
お金も二人の物だと
思っていた

この時の私は
なにも疑わず
手渡した





その数ヶ月後

「会社に行く車
別でほしいけど
なかなかお金厳しいわ」


『いくら?』


「30万位」



私はまた手渡した



本当に何も考えてなかった
ただ貸すだけで
またまとめて
返してくれるだろう
位の
安易な考えだった



もちろん
何ヵ月経っても
何年経っても
返ってくる事はなかった


私は
利用されてる?

いや
お互いを思ってるし
いつか
ごめんって
返してくれると

意味のない期待と
不信感が募っていった